プロローグーーいつもの夢
久しぶりに"あの夢"を見た。
知らない…いや、『大事"だった"女』が
何処かの屋上らしきところのフェンスの近くで俺をみながら泣いていた。

『あたしっ…もう消えたいっ……もう嫌なの。もう全部が嫌なの!!!』

『どうしたんだよ!?落ち着け!!ーーー!まさか、お前の後ろにあるフェンスから落ちよう、なんて思ってないよな?』

俺がそう言うとあいつは気まずそうに下を向いた。
その後何かを決めたように俺をみてあいつは言った。

『玲くん、やっぱりみんなと同じだね。』

『え?』

『みんなは虐めるだけ虐めて死のうとしたら私が悪かったって謝るよね。』

『…』

『虐められている人を守るヒーローは自殺を止めようとするけど、一緒に死のうだとかは言わずにやめろとだけ言う。玲くんはその中の一人。』

『玲くんは卑怯だよ。』

そうだ。俺は卑怯だ。
やめろとは言うが、一緒に死のうとは思わない。

『わたしはもう玲くんの近くにはいない、、いや、いたくないの。』

『っ…』

『だからさ、バイバイ、玲くん。いや、卑怯者。』

『やめろ!!ーー!!』

一瞬だった。
あいつが目の前から、この世から居なくなったのは。