ある日のバイト先




「いらっしゃいませ」



若い男子集団
仲良いんだな?遊びに来たんだなぁって思って接客する



「ありがとうございます」

丁寧に頭を下げていつもどーり接客する



「ねぇ」

「はい」

「ねぇ連絡先とか交換できない?」

「いや……初対面の方とはちょっと……」

「そーだよな?
また遊びに来るね?」




それから度々遊びに来てくれるようになったその集団

お店としても来てくれることによって収益はあるわけで

有難くいつも思っていた



人間不信だったあたしだけど

有言実行して度々遊びに来てくれる人




この人ならと思えた






その日を境に連絡先を交換お付き合いをするように





この人とならと思ってた






この人とならこの先も







ある日のデート





プリクラを撮ろうと言われ怖いことを伝えたけど自分のためにもと撮ることに同じように怖くなってパニックに……。
迷惑を沢山かけた




けど大丈夫だと言ってくれてやっぱりこの人は違うのかもしれないと思った。



そして夜……。









彼氏の家に泊まることになり


あたしの中では普通にお泊まりの予定だった……



なのに…………










じゃなかった





最後に言われたのは




体も顔もいいんだからそれ目当てに決まってるだろ?と……
いちいちパニック起こされてめんどくせぇと……










やっぱりあたしはお荷物なんだ……
生きてる価値なんてない……


その日からより一層そー思うようになった







あたしがいなければおにぃちゃんも幸せなのかもしれない



咲優もそー思っているはず






もぉ誰も信じれない








あたしの心の叫びなんて届かない









そんな時に見捨てずに声をかけ続けてくれたのは
咲優とおにぃちゃんだった








それから2人にだけなら本音をいえる





ふたりが入ればそれでいい





そー思うようになり


友達は咲優だけのまま高校三年生になり





今年もクリスマスは咲優とだなぁと思っていた













そう
咲優と行くあのUSJまでは















そして今に至る









今では本音をいえる仲間が3人とおにぃちゃん4人もいる







咲優さまさまなのです










結局咲優の強引に負けて


久々に4人で飲みに行くことに





「よ!」

「待ってたよー」

「お前ら飲めんの?」

「相変わらず失礼
飲めます!」

「いやはづは飲む量気をつけて……おにぃさんにあたしが怒られる」

「わかってます!」

「お前はあんまり飲むな」

「なんでそんなこと言われなきゃいけないの?
よくない?」

「あのなぁ?
お前自分の体のことわかって……」

「わかってますーうざっ」

「とりあえず言い合いしない」



あー!せっかく今日は飲むぞーって思ってたのに萎えるわ……




「みんななんの仕事してんの?
はづは変わらずだよね?」

「うん。
ずーっとあそこだね?一応リーダーさせてもらってるからね?あちこち走り回ってます。」

「そっちは?」

「俺は介護」

「え?雅人介護なの?知らなかったーそりゃなかなか会わないわけだわ……」

「へー。まぁそんな雰囲気会ったかも……高校時代から」

「うんうん
そっちは?」

「俺?看護師」

「うん。2人ともそんな感じするわー
逆に保育とか言われた時アホなんかな?と思ったし」

「それも失礼だな」

「いや事実」


話も盛り上がりみんなテンションMAX


「はーづー飲みすぎ!」

「飲んでないよーだぁーじょーぶぅー✌︎」

「ダメだこいつ」

「いやお前飲みすぎやめとけ」

「やぁーだぁー
はづまだ飲めるぅー」

「あ。もぉダメだ……」

「こいつこんななの?」

「こんなんです……」

「ねぇーゆぅまくん!
飲もぉー!あ!それはづも食べたい!あーん!」

「はぁ?お前なぁ」

「あ。ダメだこりゃ」





あたしは心地よくなったらしい。






記憶にないので
咲優の記憶をもとに……





咲優side




あー!ダメだもぉこれは
明日記憶ないやつだな。うん。




「ねぇーこの後どこ行くぅー?」

「お前は帰れ」

「やぁーだぁーまだみんなといるぅー」

「お前はかえって大人しくしとけ!
飲みすぎ発作起こすぞ!」

「だぁーじょーぶだってー
ちゃんと後で薬飲むからー」

「いやアルコール呑んでるのに飲むなよアホか!」

「ヘヘヘッ」


もぉカンペキ出来上がってる……


仕方なくこのまま4人でカラオケへ




はづはと言うと……





「ねぇ……やばいかも……」

「はぁ?」



いや顔色やばいかも葉月さん。






「悠真……はづ」

「あぁ?」





「ちょっと出てくる……」





え?

葉月さんどこへ行こうかと!?




「ちょ!はづ!」






まず今の状況を

顔色最高に悪い葉月さんが
多分迷惑かけまいと部屋から逃げようとしています


酔ってるってのもあって壁伝いに……


誰が逃がすんだよこのフラフラ女



悠真side




「おい!どこ行く」

「ちょ……と……」




あのフラフラでどこ行くんだよ
明らかに顔色悪いし呼吸も早い……




「っと……」


ナイス俺

じゃなくて



「お前なぁ……だから言ったろ?」

「頷く)……」

「中断する?」

「いや?そのままでいいよ?
変な行動する方がこいつ気を使う」

「そーかも……。
悠真任せていい?あたし見てられないかも」

「お前までパニックになられても困るから」

「すみません」





「だから言ったろ?大丈夫かよ」





人の気も知らねぇで……。








正直高校時代あの日から
気になっている。





保育に進む予定だった俺は葉月と出会ってから進路を変えた


いつかこいつを救いたいと看護の仕事に進むことにした
でも卒業後会うことも無くこの間久々に連絡が来た時

それはそれは飛び跳ねるほど内心喜んだ



で今日





さっきの店での葉月の破壊力といったらやばい……





からのこれ……




こいつは俺の心を荒らしてくる……





可愛くてほっとけなくて……
助けてあげたい守ったやりたい……


こいつの事は知ってるつもりだから
付き合おうなんて思わないそれ以上は望まない……



葉月side


「ごめんなさい……」

「落ち着いたか?」

「うん……」


また迷惑かけた……。
あー。ほんとつくづく着いてない
まだほわほわしててお酒は抜けないけど自分がやらかしたことくらいはわかる。



「お前自分のこと責めてるだろ?」

「べ……別に」

「嘘つけ!迷惑なんか思ってねぇから
迷惑だって思ってたら来ないからお前と連絡も取らないし俺らは大丈夫だよ」


初めて言われたかもしれない
今まで迷惑だってめんどくせぇといわれてたあたし


「でも……めんど…くさ……い…よね」

「めんどくさくねぇよ」

「でも……」

「お前はめんどくさくない
今日は楽しくて飲んじゃったんだろ?
そーいう日もあるでもみんなの意見聞けばよかったな?あんまり飲みすぎたら発作が出ることくらいわかってたろ?」

「うん」

「ごめんなさい」

「いいよ」



そのあと沢山泣いた
この3人の前で涙なんて流したことは無かったいや咲優にすらあたしの涙は見せたことがなかった……



初めて芯から心を許した瞬間だったかもしれない






自分の存在価値を見失ってたあたしには十分すぎる言葉だった




ありがとう








ありがとう涙




あれから毎日連絡を取るようになった

悠真 おはよう

葉月 おはよう

今までは
咲優のLINEを荒らし咲優に鬼電をしていたあたし


ひとりぼっちが怖くて誰かの声が聞きたくてでもそんなことを言える人もいなかったから咲優に全てをぶつけていた




それができる相手ができたのだ




葉月 ねぇ。今日仕事で失敗しちゃった……声聞きたいなぁ。

悠真 今仕事。終わったらかけようか?

葉月 いいの?

悠真 いいよ?それまで待てるか?

葉月 うん












~♪~


「はい」

『はい。終わりました』

「お疲れ様」

『ありがとう。どうした?』

「仕事でお客さんと少し揉めちゃって……やっぱり向いてないなぁって……」

『また自分責めてる。誰だって失敗するって』

「でも……でも……涙」

『もしかして泣いてる?』

「泣いてないよ……涙」

『嘘下手くそ!今からそっち行こうか?』

「え……?」

『涙流して……呼吸おかしい人ほっとけなくね?』

「そんなことないよ!泣いてないし!」


たかが電話でバレるなんて思ってなかった。




なんか図星をつかれていきなり気持ちが不安定になってきた……




「ない……て……ない……よ……ハァハァ」

『聞こえてる?今から行くから!
座ってんの?寝転んでんの?落ち着け!』

「ハァハァハァ……だい……じょー……ぶ」

『いや喋んな!寝転がってるんなら座れ!』

「……。」

『葉月!? 聞こえるか?』




その時の記憶なんてない……とりあえずまた迷惑をかけた。

今すぐ切らないと……。



ただそれだけを思った



悠真side



仕事で失敗したから電話がしたいと連絡が来た


俺の心は正直飛び跳ねるほど喜んでいる






サッと仕事を終わらせて電話をかける


どうした?と




客と揉めたらしい
仕事に向いてない……




また自分を責めてるらしい


鬱特有だよな1度マイナスに思うと戻れないこの思考回路



死んだ方がマシだと思う人も沢山いる
そんな人を沢山見てきた。


話している間にやはり抱え込みすぎて泣き出した
そのまま過呼吸に……




俺は急いで家に向かうことに






ピーンポーン


あ。こいつ鍵閉めないだっけ?

1度そんなことを言ってたな?閉めろと言ったけど閉めたくないと。


「おじゃましまーす」


1度咲優につられてきたことがあるそれ以来だ



「葉月!?大丈夫か??ゆっくり深呼吸して」

「……。」

「葉月はひとりじゃねぇから、まずは落ち着け」



ゆっくり呼吸を誘導して背中をさする


次第に落ち着いてきたか?と思ったが
手の震えに怖くなりまた過呼吸に



「大丈夫からゆっくりな?」

震える手を握りしめ抱きしめながら背中をさする


「大丈夫……大丈夫」



次第に落ち着くのを待ち話す



「落ち着いたか?」

「ごめんなさい」

「無理しすぎだな」

「はい」

「あとさ?俺はお前の彼氏かよ笑」

「なんで?」

「声聞きたいってなんだよ笑」

「そのまんま」

「俺だからいいけど、あんまり男にそういうこと言うなよ?好意があるのかな?って誤解されるぞ??」

「思ったこと言っちゃ……ダメ??」

「いやダメではねぇけど
声聞きたいって言い方がダメだな」

「んー」

「わかんねぇならいいよ
他のやつには言うなよ?」

「うん?」




ほんと
他のやつには言わないでもらいたいな