兄side


妹の葉月は数ヶ月前から引きこもりになった
理由は聞いていない


聞いてみようと思った時は沢山あるけど何があった?と聞く度にパニックになる


次第に外にも出なくなり明らかに鬱だなと思うほど


俺の職業は精神科医
カルテを作り診察さえさせてもらえれば薬も処方できるし少しは楽になるはず



今日もまた病院に行こうと誘うことに……

まさかここまで酷いとは








玄関までせめて1歩と思った






けど玄関に着くなりパニックに




「大丈夫だから、大丈夫……大丈夫」


苦しそうな呼吸音だけが部屋に響く



「葉月?
大丈夫だよ?大丈夫……」


涙を流して苦しそうにする葉月
なんとかしてやりたい







あ……


「もしもし!」

『どうしたの?』

「ねぇちょっとお願いが……」





あれから15分
いまだ玄関にいる俺ら





「おじゃましま〜……」

「あ!ありがとう、ごめん」

「いいのいいの!
はい!パソコン!でこれね?」

「ありがとうほんと助かった」

「医院長に怒られたわよ!借りは返してね?」

「今度飯にでも連れてきます」

「ヤッター!」

「大丈夫?葉月ちゃん」

「今は何とかな?」

「電話越しでやばそうだったから……」

「まぁ」


そう
病院のノートパソコンを持ってきて欲しいとお願いし
安定剤の注射を院外への持ち出しをお願いした。
そりゃ院長怒るわな?


外に出れないならこれしかないと彼女にお願いしたのだ



「おにぃ……ちゃん……手……」


「手?あー。
大丈夫ゆっくり深呼吸してごらん?治るよ?」

「あー痺れちゃったんだね?酸欠だね?
葉月ちゃん少しチクってするけどごめんね?」


あれから数分後
落ち着いて寝ている葉月


彼女はカルテを作りに院内に戻ってくれて処方箋をわざわざ薬局へ薬を持って戻ってきてくれた



「おじゃましま〜す」

「ありがとう」

「まだ寝てる?」

「うん。まだ寝てるよ?」

「そっか」

少しずつ外に出れるようになりますように
葉月が笑っていられますように



「薬あうといいね?
出れるようになったら3人でお出かけしようよ!」

「そうだな!」