『あの時みたいになる気がするから。』


あの時とは、ストレスやプレッシャーを溜めすぎて。

拒食《きょしょく》――――――症。

体が食べ物を受けつけなくなる――――――。

「無理は、してないんだけどね。」


【回想】

思い出すは、中学の時。
家には、両親も組員も仕事がバタバタしてて誰もいないし智にぃもなーくん(直人お兄ちゃん)も

学校の行事で忙しかったのか帰りが遅かった時に、そのせいで、気づいた時には、家に一人になってたっけ。

迷惑かけちゃだめだ。
寂しいと言う気持ちを隠さなきゃと思って
龍平の病院に行って、帰った後に意識がぶっ飛んだっけ。

最初の異変に気付いたのは偶然仕事から戻り様子を、見に来た弘樹《ひろき》くん。

「心彩嬢!?」

すぐに、病院に運ばれたんだっけな。

「ごめんね、ごめんね、気づかなくて…」

十二指腸潰瘍《じゅうにしちょうかいよう》な上、胃にも穴開いた。

暫くは、安静にしてと。

モノがノドに通らなかった。

両親、お兄ちゃんズ。組員、弘樹《ひろき》くん。

龍平は、病院で、検査中で。
この時からは、仲良かった虎《たい》ちゃん達がお見舞い来てくれたと同時に、お兄ちゃんズが
入っている暴走族を紹介したと聞いた気がする。
その時に、龍平の望んだ未来の話をしたのを覚えている。

もう少し、昔話をしようかな…。

幼少期の頃から家族の中で人見知りでコミュ症の私はよく、

お兄ちゃん二人とパパの足の裾に、くっついていて離れない子だった。

じーーーーっと周りを見ていることが多くて、観察をしていたのを心配されたのを思い出した。

それに、すぐに気づき、心の開き方を教えてくれたのが組員である弘樹《ひろき》君だった。

ーーーーあの時も智にぃのズボンの裾にくっついていて。

『心彩嬢。はじめまして…今日からここで世話になりやす。弘樹《ひろき》と申します。何かあったら気兼ねなく、お話しに来ください。』

挨拶された時に、そう言われて、智にぃの後ろに隠れながら

言葉にもたもたしてしまった。

「ほら、隠れてないの出ておいで。挨拶できる?」

「えっーと‥‥ひろ、き…くんよ、よろしく‥‥お、おねがいします…。」

挨拶をして、智にぃの後ろに隠れてしまった。

クスリと笑い、大きな、手の平で頭を撫でられていた。