直人side




畳の部屋で、兄ちゃん達と仲良く宿題をしていたら弘樹が慌てた様子で組員の琳と戒に指示をしていた。



「琳と戒、1台ずつ車だして、組長と乗って。お嬢がいる学校に向かうよ。乗せなきゃならない馬鹿2人ほどいるから組長の指示聞いて。……凌《しのぐ》、拷問室の2人任せていいか?」


心彩に何かあったのか……?



「「すぐに、準備します。」」



「おっけー、見張っておく。まぁ、逃げれないように足は、折って置いたけど……。」



……凌《しのぐ》サラッと言ったね、今。



「ははっ、さすが凌《しのぐ》。……お嬢、執着ストーカーと脅迫、暴行、暴言されてたのに今日まで、
黙ってて、これから病院行ってから連れて帰ってくる。……あのお嬢が完全にキレてるらしい……。」


「「「「えっ?!」」」」


あの心彩が――――?
やっと心を開いてくれて、俺の事をなーくんと呼んでくれてるあの心彩が……?人見知りのコミュ症で穏やかすぎるし、俺らはあった反抗期もあるのかってくらいの子だ。



幼少期も背中や隅っこにすぐ隠れちゃうあの子がーーー?

あれはーー………………あの時はーー…………。





【回想】


脳裏にしっかり焼きついているのは、

「ほら、お前らの”妹”になるんだぞー」

そう、見せられたのは小さくて可愛い赤ちゃん。

11月17日の夜中に、生まれた。

「「これから沢山、護ってあげるからね。」」

言葉も理解した頃には、幼いながらに人見知りのコミュ症を出していた心彩……。

「あ……りゃ?……なおとおにーちゃんですよー?」

誰かしらの後ろに隠れて観察してることが多かったり、隅っこの方へ行って座ってしまう心彩……。

「ほっーら、そんな隅っこいないの。パパのとこおいでみぃーちゃん。」

そう言っている、父さんに自分から近づくことはなく……父さんが近くに行き、抱っこをしに行く。

「…………」

言葉もそんな発っさなければ、自分から甘えや我儘も滅多に言わない。

弘樹が来てからも兄ちゃんの後ろに隠れて、観察してたけど少しずつようやく喋ってくれるようになったのは弘樹の"まほー"のおかげだ。

「……なー……くん……」

そう呼ばれたのは初めてで……。

「……可愛いあだ名貰ったわ…」

”妹”からの初めて呼び名は、嫌ではなかったから頭に手をぽんっと、置き撫で回してしまった。


「ううっ………ごめ……ん……なさい……」


「ん、嫌じゃないよー?」

「……ほんと?」

「うん。……お兄ちゃん達に、もっと甘えてね?」

そう言うと俺にぎゅーと抱きついて来てきたので、この子なりの甘えなのかなと思った。

コクンと頷き、心彩は可愛かった。


…………

…………