「ぃー?…みぃー…ちゃん?…調子悪い?」



呼ばれたので、あわてて、通話に戻った。




「あっ、ううん。ごめん…ちょっとあいつの記憶思い出しちゃっただけ」



『あの薬も切れる……だろ?お兄ちゃん見てあげるから幸我とおいで。』




薬とは精神安定剤と睡眠薬こと。



「……病院、嫌い。」



『お兄ーちゃんは、可愛い妹のために医者になったんだけどね?とりあえずお兄ちゃんの家でもいいから。』




そう言われると、断れない……。




「……分かったよぉ。また、連絡するね。」




そう伝えて通話を切った。




通話を終えると幸我の方も終わって
いたみたいで大丈夫か?と言う顔をされた。




「智さん?」




「うん。情報が、欲しくてね。電話したら病院おいでって、言われた。」




病院嫌いになった私の事を知っているから、
苦笑いをした幸我。




「……俺も付いて行くから、安心しろ。」




どうしてこうも過保護がいっぱいに
なるのだろうか。



「…こう、が…、ありがとう。……仕事する前にぎゅーしていい?」



私より、大きい幸我の身体に抱きつき、




「よしっ。……充電完了。」




逃げるようにパソコンに向かったのだった。




「……たくっ……人の気持ちも知らないで。」





そう呟く幸我の言葉なんて知らなかった。