彼女はハトムギ茶とスパイスを煮出して、温めたアーモンドミルクと合わせて作ったホットチャイを、手慣れた様子で出してくれた。
ハトムギ茶のほのかな甘さと香ばしさに、アーモンドミルクのコクと、スパイスの香りと味わいが足されたホットチャイは、きっとここでしか味わえない彼女のオリジナルで、彼女の好きな味と香りと優しさが、自分の中に穏やかに広がるのを感じた。
チャイを口にするたびに、わたしはこういう人なんだけどって、自己紹介されているみたいだった。
彼女に惹かれたのは間違っていなかったと思わずにいられなかった。
少し不安げにわたしのことを見つめている彼女は口を開いた。
「口に合わなかった?」
「好きです」反射的に応えていた。言ってから、わたしは少し慌ててしまった。あまりにも自分が正直だったから。
「よかった」
彼女はチャイを気に入ってもらえて安心した様子で、自分のマグカップに口をつけた。
わたしは、好きですの意味が彼女に伝わらなくて安心した。