男の人がいつしか怖くなっていた。
 失敗ばかりで失恋ばかりで。
 もうきっと一生恋人なんか出来ないと思っていた。

 敦智くんと付き合えて私は人生が変わった。

 彼の甘あまさと私のしょっぱさ。
 私の今の心はあまじょっぱい。

 ちょうどこんな気分がいい気がしている。
 私にピッタリな気がする。

 敦智くんとは話が途切れない。
 話しても話しても。

 男の人といて一番嫌だったちょっとの時間の沈黙すら、敦智くんの優しく笑う顔を見つめているだけで良いんだってこの恋は教えてくれた。

 敦智くんはもうすぐ獣医師になる。
 そのうちモフモフ犬や気まぐれ子猫ちゃんやたくさんの動物を助けてあげるんだ。

 私もいつか彼の横で一緒に働けたら良いなあ。


 今夜は敦智くんの部屋で週末デートです。

「ねえ、イズミさん。良かったら僕といつか夫婦になって二人で動物病院を開こうか?」

 ふ、夫婦〜っ!?
 私は恥ずかしさで沸騰寸前。
 敦智くんは私をぎゅうっと抱きしめてくる。

「ねえ、イズミさん。そのうち同棲もしようね」
「同棲っ!? 私みたいな恋愛初心者にはそ、それはまだ刺激が強すぎます」
「僕がもっともっとイズミさんと一緒にいたいからですよ。……イヤ?」
「イ、イヤではありませんが……」
「じゃあ、約束ですね」

 私、敦智くんにおでこにチュッとかされちゃって。
 溺愛されちゃってます。
 それから忙しくても時間を作ってデートしちゃう、私たち。

 こんなに毎日、溺愛カレシと甘々なんてどうしよう。
 

      おしまい♡