イケメン王子様によってさり気なく支払われるチケット代。

「あっ! だっ、出しますっ! 私も払います」

 私はあわてて薄いピンク色のポシェットからお財布を出そうとした。
 イケメン王子様が優しく微笑んでからその私の手をフワッとやさし〜く抑えた。

「良いんですよ。素敵なあなたと初めてのデートが出来るから嬉しいんです。僕が支払います」

 エッ?
 エッ?
 それってこれはデートってこと?
 まさかな。こんなめっちゃイケメンだよ?
 それとも。

「あなたと出来る初めてのデートだから。楽しいです」

 うそでしょ〜?
 あ〜っ。
 だめだあ。
 かんっぺきにイケメン王子様に心を盗まれてしまった。

 私とイケメン王子様はバターソルトポップコーン一つにナチョス一つとジンジャーエールを二つ買ってから、二人で劇場に入りました。

 もう、人生初の出来事づくしで心も頭もパンクしてしまいそうです。