七夕。そして私の誕生日。あの年まで隣にいた人は今年もいない。

今夜も電話は来るだろうかと思いながら見た空は、真っ暗。昨日までは連日晴れていたのにやっぱり雨だ。

この地方では、毎年のように七夕の夜は雨が降る。だから晴れた夜空に天の川を見るということは、ほとんど奇跡に近かった。

天気予報もずっと明け方まで雨と言っている。星空は期待できない。

そうは思うのに結局諦められなくて、今年もやっぱりこの公園に足を運んでしまっていた。

ここは高台にある住宅地の一角。

自宅からも近く、周りにあるのが高さのない一般住宅が大半だから、視界を遮るものがない。おかげで空が広く見えて、晴れた夜には星空が綺麗に見える。

そんなベストポイントなのに、この場所から七夕の夜に星を見るのは難しい。

一番最後の記憶にある七夕の夜の天の川は、いつのことだったろう。

あれは確か、私の中学生活最後の夏のことだ。近所に住んでいた仲良しの幼馴染と一緒に、夜空を眺めたことがあった。その年は珍しく、くっきりと美しい天の川を望むことができたのだった。

翌年の春、彼は進学のために遠くの地に引っ越してしまった。時々連絡するよ、と寂しそうな笑みを残して。

その時の私は、どうしてそこまで彼が寂しそうな顔をするのか、よく分かっていなかった。