__心は大荒れのままいつの間にか
着いた廃病院の前。


手渡された懐中電灯を持って
正面から入り、突き当たりを
右に曲がって、1階の裏口から出る。


それがこの肝試しのルールだ。


列で並び、前から順番に
2人か3人の組が1分おきに
廃病院に入っていく。


「紫乃、大丈夫?
 さっきからなんかオーラが暗いよ?
 紫乃のことは、私が守るからそんな不安に
 ならなくて大丈夫だよっ!!」


「...うん。ありがとう、優愛ちゃん。」


私のことを心配してくれた優愛ちゃん。


肝試しが怖くて不安がっていると
思ったみたい。


...たしかにそれもほんの少しあるけど
私が暗くなってしまったのは。


前に並ぶお似合いな2人をそっと見る。


はるくんの腕に手を添えて
嬉しそうに話す華村さん。


...前は、はるくん、
華村さんの手を振り払ってたのに。


はるくんも華村さんに惹かれているのかな。