「……よし、忘れ物ないよね」
部員たちを見送り、倉庫のカギ閉めを終えて、私はグラウンドをあとにした。
一人で戸締りするのも、もう慣れたものだ。
火月先輩が部活にいたころは、私に付き合って火月先輩も最後まで残ってくれてたっけ……。
(……もう……豊橋のせいで火月先輩のことばっか考えちゃうじゃん……)
考えたって寂しくなるだけなのに。
そんなことを思いながらふとスマホの電源を入れると……噂をすれば影。
火月先輩から、メッセージ。
『8月10日から10日間、帰省するよ』
私はホーム画面に映し出されたその一文を、静かに何度も読み返す。
何度も、何度も。
(……『帰省する』って……、それって……)
じんわりと私の胸に熱さが広がる。
私の脳裏に、火月先輩の低めな声が、優しい眼差しが、大きな手の感触が、よみがえる。
滲む涙で、視界が少しずつぼやける。
(……火月先輩に、会える……)
私は誰もいないグラウンドで一人、静かに涙をこぼした。
部員たちを見送り、倉庫のカギ閉めを終えて、私はグラウンドをあとにした。
一人で戸締りするのも、もう慣れたものだ。
火月先輩が部活にいたころは、私に付き合って火月先輩も最後まで残ってくれてたっけ……。
(……もう……豊橋のせいで火月先輩のことばっか考えちゃうじゃん……)
考えたって寂しくなるだけなのに。
そんなことを思いながらふとスマホの電源を入れると……噂をすれば影。
火月先輩から、メッセージ。
『8月10日から10日間、帰省するよ』
私はホーム画面に映し出されたその一文を、静かに何度も読み返す。
何度も、何度も。
(……『帰省する』って……、それって……)
じんわりと私の胸に熱さが広がる。
私の脳裏に、火月先輩の低めな声が、優しい眼差しが、大きな手の感触が、よみがえる。
滲む涙で、視界が少しずつぼやける。
(……火月先輩に、会える……)
私は誰もいないグラウンドで一人、静かに涙をこぼした。