アンドロイドの彼は今まで、別の“世界”で生きてきたも同然。おとぎ話のような物語などに触れたことはなかった。
 純粋に自分にそう尋ねてくるということは、その物語を“語られたまま”受け入れているのだろう。

 しかし彼女は本当のことを彼に言いたくなかった。

 魔女は物語の最後、ただ旅立った訳ではなく……

「あら、あなたは魔女に会ってみたいの?」

 彼にはうやむやにして語って聞かせたが、自分は物語の“魔女の辿った結末”を知っている。
 それは祖母に必死にせがんで教えてもらったこと。

 祖母は悲しげに下を向き、彼女に“魔女の最期”を語った。