彼女は一人身で街の隅の古びた家に一人で住んでいた。
 彼女は彼の身支度をできるだけ整えてやりながら、祖母から教えてもらった物語を語って聞かせる。

「小さな魔女が旅をしていたの。その途中で彼女が見つけたのは、あなたみたいにボロボロの人形だった。その人形は人間にされた仕打ちをしようと小屋に魔女を閉じ込めて仕返したわ。それでも魔女は魔法を使わずに耐えて人形の苦しみを話を聞いて少しずつ解いてあげた。魔女は大切な人を失う悲しみを知っていて、その人に『優しさを忘れずに生きていてほしい』と言われて約束をしたから」

 悲しげに下を向き話していた彼女は、彼に向き直る。

「ねえ私は、あなたの友達になれる?」

 しかし娘の言葉に彼は首を傾げた。

『“友達”とはなんですか?』

「ようするに、私はあなたと仲良くしたいの」

 彼女は気持ちを告げるが、それでも彼に意味は伝わらない。

『“友達”、“仲良く”の意味が理解が出来ません。対象である私を自身で痛めつければよろしいのでしょうか?それとも、私自身を苦しめろとの命令でしょうか?』