始業式は無事に終わり、再び教室へと戻ってくる。
 始業式のさ中、周りをチラリと確認してみたが、集まった生徒は誰も彼もが派手で、なんだか別の世界の住人のように輝いていて眩しかった。

 こんな地味な生徒が突然現れたものだから、多分向こうは向こうで別の世界の住人のように思っていただろうけれども。

 どこか浮き足立つような空気感と、どこか期待を胸に秘めたような空気感に息が詰まったような気がしたので、何故だろうか、教室に入った瞬間、少しだけ安堵に似た感情がやってきた。

 改めて教室に集まり何をするのかと思えば、新しいクラスの面々で自己紹介を行うのだそうだ。
 彼女からしてみれば、じゃあ入ってきた時にやったあれは不必要だったじゃない。と思わざるを得ないのだが。

 まぁ、そういうものなのだろう。
 知らないけど。

 良く考えれば、クラスの面々だって去年から繰り上がりでは無い限り初対面の人もいるのだろうし、一年この場所で過ごすのだから必要なものだと納得して人の自己紹介をぼんやりと聞いていた。

 自分の番はさすがに、朝の挨拶に少し好きなものを付け足しただけ。簡素な挨拶を手早く済ませた。