「この学校も、蘿月の人間が通うからって理由で派手な人間が集まってきちゃった部分は大きいのよね。整った設備で勉強がしたいだけなら他にも選ぶべき学校はあるもの」

恋人がその一員という割には、咲月の様子からは呆れが感じとれた。
言葉にしてはいないが、それこそ「馬鹿が多い」と言いたげな、そんな様子だ。

「蘿月ありきの神恵高校みたいにもなっちゃってるから、こういう不思議なローカルルールも存在しちゃうしね」

人気があるというのは大変不便なことらしい。
そういった、蘿月と関わり合いたい人間が踏み込んでこないために設けられたルールなのだろう。彼ら自身は普通に学校生活を送りたいと思っているのだから、それを脅かさないための処置は必要というのは分からないでもない。
が、しかし。

「暴走族が人気っていう構造がいまいち……」
「本当にそうよね、だってガキが集まってるだけよ所詮」

よく分からない、とお弁当に入った卵焼きを口に放り込んでいれば、咲月が予想よりも力強い同意を見せてきた。