「高嶺 海です、あの、本当にお邪魔させて頂いてありがとうございます」
「いいよいいよ、こうやって真っ当に食事になってる時点でなんの問題もないから」
「……真っ当に食事にならないことが?」

 会話の流れで祥希から言われた言葉に首を傾げる。
 どういう状況なのだろう、真っ当に食事にならない事態なんて。

「高嶺ちゃんはさ、蘿月(らげつ)って知ってる?」
「松風蘿月の……?」
「うん、意味はまぁそれだね。でもここら一帯では別のものを指すんだよ」

 首を傾げる海に対して、祥希はそのまま言葉を続けた。

「暴走族蘿月、顔が良くて喧嘩も強くて人気がある」
「はぁ……」

 よく分からないといった様子の相槌を打ちながらも、何となく話が読めてきたと納得する。

「そしてここに居る面々はその蘿月の一員ってこと。咲月ちゃんは実際には俺の彼女であって、仲間とはまた別ではあるけど」

 やっぱり。

「人気があるから、他の人がまざった暁には落ち着いた食事にはならないと」
「そういうこと」