「大丈夫、です」

 こんな予定ではなかったが、なってしまったものはしょうがない。
 今から別の場所を探すのもアレで、ルール違反をしてしまったらしい自分を追い出さずにいてくれると言うのなら、今回はそれに甘えさせてもらおうと思った。

「一応自己紹介しておくわね。 私は相良(さがら) 咲月、そこの無駄に物腰柔らかなのが」
甲斐(かい) 祥希。咲月ちゃんの自慢の彼氏だよ」

 親切な目の前の面々は、食事がてら自己紹介をしてくれた。
 結果、そんな彼氏彼女がいる中でこんなお邪魔をしていいものかと思ったが、そんなことを気にせず黙々と箸を進める人物がいたため一旦気にしないことにする。

五十嵐(いがらし) 葵」

 そう名乗った彼は、よく喋る訳でもないらしく、一緒に昼食を取ろうと動いたわりに自分から何かを言うことは無い。
 本当に、必要最低限といった様子だった。

「私たちは三年で、ガキ……あのよく吠えたあれ、仁藤(にとう) 瞬って言うんだけど、アレはあなたと同じ二年よ。明日からはもう一人一年も加わって食べる予定だけど」