人が少なそうな場所を目指し、気づけば屋上で。
　こういう場所は、立ち入り禁止とか書かれているものだと思った、なんて考えながらもすんなりと入れてしまったその場所で、少し驚きつつ広々としたその場所で軽く深呼吸をする。

　息がしやすい場所だ。

　適当に座れそうな場所で弁当を開ける。
　用意してもらったその中身が、自分の好きなものばかりだったので幸せな気分に浸り微笑みを零した時だった。

　人の気配だ。一人じゃなく、複数人。

「あ？」

　扉から差程離れていないフェンスの下で今から昼ご飯を食べようとしていた彼女の姿は、出入口から丸見えだと言うことで。
　彼女の姿を見つけたチェリーレッドの髪の男は、鋭く睨みつけるような視線とともに、不機嫌そうな声を漏らした。

「……誰だお前」
「先客がいるとは驚いたな」

　不機嫌な男の後ろから、ホワイトシルバーの髪とパープルグレーの髪の男も増えて目を瞬く。

「えっと……」

　なぜこんなにも睨まれているのだろうか。
　主にその視線を向けているのは赤い髪の男一人ではあるのだが。