授業とは言っても、始まるのは簡単な先生の紹介と、これから始める授業の簡単な説明。
 軽いオリエンテーションで時間は過ぎていく。

 そんな形で、早いような長いような午前が終わり、お昼休みの時間がやってきた。
 周りは仲のいい面々で固まっていたが、海は生憎と一緒にお昼を食べるという選択肢をとることは出来ずお弁当を抱えてふらりと教室を出る。

 あの賑やかな場所でご飯を食べるのは、なんだか居心地が悪い気がしたのだ。
 慣れなければ行けないということは理解しているけれど。

 新しい生活への期待とは裏腹に、今までの経験から、馴染めないものが多いのだと今日一日で理解してしまった。
 自分はこんなにも、人との交流が下手だったのかと少しショックを受けないでもない。

 もう少し上手にできると思っていた……なんて言ったら笑われてしまうだろうか。

「……笑うわね、絶対」

 小さく呟いた言葉は、昼休みに満ちた賑やかな声にかき消されていった。