閉じている目に光を感じる。
アリアが目を開けると、何もついていない煤汚れた天井ではなく
「シャンデリア?」
朝の光に反射して光る白銀色のシャンデリアが見えた。
「アリア様!」
「⁉様付けは結構です。わたくしはそのような身分ではございません」
アリアを様付けで呼ぶ者などこの世界にはいない。
むしろ様付けで呼ばないといけないのはメイドのアリアの方だ。
「......。アリア様、私はアリア様の侍女となりましたシアナと申します。今、料理長が食事を持って来てくれますよ」
「侍女に食事、ですか、シアナ様?」
侍女だなんてアリアにはいない。
それに、食事を持って来る?
アリアに?
嫌がらせ。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
食事と言って、残飯よりもひどい物が来たことある。
どうやって食べようか悩んでいると、
「皇女殿下、食事をお持ちしました」
そう言って白い服に包まれた料理長がやって来た。
「これは......?」
料理長が持ってきたご飯は残飯などではなく皇后や同母姉が風邪をひいた時に食べていたような物だった。
アリアにとっては看病している時、偶に視界に入る物で一度も食べたことがない物。
「スープです。作りたてなので暖かいですよ!」
お皿を持つと今まで感じたことないような温度を感じる。
一口飲んで見ると、
「......おいしい.... !スープってこんなにも暖かいのですね」
アリアにとって、スープを含めてご飯は冷たくて異物が入っている物だった。
(もしや、最後の晩餐なのでは?)
晩餐ではなく朝食だが。
「ようやく目が覚めたか、アリア」
「皇太子殿下」
スープをお盆に乗せて、床に降りようとしたが、皇太子に阻止された。
「俺の、たった一人の妹が頭を下げる必要はない」
「妹君ということは、やはりアリア様は......」
「そうだ、シアナ。アリアは俺の妹で行方不明だった皇女だ」
「それは、どういうことですか?」
行方不明の皇女が敗戦国の末っ子王女?
確かにアリアは銀色の髪に緑の瞳で王族の証を持っていない。
見た目の特徴は皇女殿下にそっくりだ。
だけど、見た目だけでは判断できない。
「それは、アリアがつけているネックレスだ」
「これですか?」
「ああ。そのネックレスは本物だ。皇族のネックレスには名前が掘られていて、暗闇の中でも光る宝石を使っている」
アリアも自分の名前を知ったのはそのネックレスだった。
誰もアリアの名前を呼ばないから、名前はネックレスの文字から取った。
ずっと付けているネックレスがまさか皇族の証であるとは思ってもなかった。
「レオン様、もし、アリア様のネックレスが偽物だったらどうしたのです?」
(皇太子殿下はレオンと言うんですか)
「そうだな。でも、ネックレスは本物だった。わざわざ偽物の時を考えなくてもいいだろう、シアナ?」
「それもそうですね」
「レオン、先に会っていたのか」
「ようやく皇女、アリアに会えるのですね......!」
「父上、母上」
(この方がレオン様の両親の皇帝陛下と皇后陛下......)
皇帝
バジル・レ・イベリア
漆黒の髪に深くて吸い込まれそうな緑の瞳を持つ
数多の国を従えて、政治と外交の手腕で世界に名を轟かせる名君
皇后
ソニア・レ・イベリア
雪のような光輝く白銀色に優しそうな菫色の瞳の女性
かなり珍しい恋愛結婚で結ばれた
「アリア、君の父のバジルだ。ようやく会えたな......!俺から受け継いだものはその瞳か。他のところは全部ソニアそっくりだ。そうだろう、ソニア?」
「そうですね、バジル。アリア、母のソニアよ。レオン、自己紹介したの?」
「挨拶が遅れた。レオンだ。これからは俺が守るから」
「アリア様、私達も精一杯務めますので、これからよろしくお願いしますね」
家族愛が溢れる父に優しくて穏やかな母。守ってくれる兄。アリアのために一生懸命働いてくれるシアナ。
(家族ってこんなに温かいものなのですね......)
「よろしくお願いします......!」
家族の愛を一度も触れずに育った少女は今、愛を知った。
アリアが目を開けると、何もついていない煤汚れた天井ではなく
「シャンデリア?」
朝の光に反射して光る白銀色のシャンデリアが見えた。
「アリア様!」
「⁉様付けは結構です。わたくしはそのような身分ではございません」
アリアを様付けで呼ぶ者などこの世界にはいない。
むしろ様付けで呼ばないといけないのはメイドのアリアの方だ。
「......。アリア様、私はアリア様の侍女となりましたシアナと申します。今、料理長が食事を持って来てくれますよ」
「侍女に食事、ですか、シアナ様?」
侍女だなんてアリアにはいない。
それに、食事を持って来る?
アリアに?
嫌がらせ。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
食事と言って、残飯よりもひどい物が来たことある。
どうやって食べようか悩んでいると、
「皇女殿下、食事をお持ちしました」
そう言って白い服に包まれた料理長がやって来た。
「これは......?」
料理長が持ってきたご飯は残飯などではなく皇后や同母姉が風邪をひいた時に食べていたような物だった。
アリアにとっては看病している時、偶に視界に入る物で一度も食べたことがない物。
「スープです。作りたてなので暖かいですよ!」
お皿を持つと今まで感じたことないような温度を感じる。
一口飲んで見ると、
「......おいしい.... !スープってこんなにも暖かいのですね」
アリアにとって、スープを含めてご飯は冷たくて異物が入っている物だった。
(もしや、最後の晩餐なのでは?)
晩餐ではなく朝食だが。
「ようやく目が覚めたか、アリア」
「皇太子殿下」
スープをお盆に乗せて、床に降りようとしたが、皇太子に阻止された。
「俺の、たった一人の妹が頭を下げる必要はない」
「妹君ということは、やはりアリア様は......」
「そうだ、シアナ。アリアは俺の妹で行方不明だった皇女だ」
「それは、どういうことですか?」
行方不明の皇女が敗戦国の末っ子王女?
確かにアリアは銀色の髪に緑の瞳で王族の証を持っていない。
見た目の特徴は皇女殿下にそっくりだ。
だけど、見た目だけでは判断できない。
「それは、アリアがつけているネックレスだ」
「これですか?」
「ああ。そのネックレスは本物だ。皇族のネックレスには名前が掘られていて、暗闇の中でも光る宝石を使っている」
アリアも自分の名前を知ったのはそのネックレスだった。
誰もアリアの名前を呼ばないから、名前はネックレスの文字から取った。
ずっと付けているネックレスがまさか皇族の証であるとは思ってもなかった。
「レオン様、もし、アリア様のネックレスが偽物だったらどうしたのです?」
(皇太子殿下はレオンと言うんですか)
「そうだな。でも、ネックレスは本物だった。わざわざ偽物の時を考えなくてもいいだろう、シアナ?」
「それもそうですね」
「レオン、先に会っていたのか」
「ようやく皇女、アリアに会えるのですね......!」
「父上、母上」
(この方がレオン様の両親の皇帝陛下と皇后陛下......)
皇帝
バジル・レ・イベリア
漆黒の髪に深くて吸い込まれそうな緑の瞳を持つ
数多の国を従えて、政治と外交の手腕で世界に名を轟かせる名君
皇后
ソニア・レ・イベリア
雪のような光輝く白銀色に優しそうな菫色の瞳の女性
かなり珍しい恋愛結婚で結ばれた
「アリア、君の父のバジルだ。ようやく会えたな......!俺から受け継いだものはその瞳か。他のところは全部ソニアそっくりだ。そうだろう、ソニア?」
「そうですね、バジル。アリア、母のソニアよ。レオン、自己紹介したの?」
「挨拶が遅れた。レオンだ。これからは俺が守るから」
「アリア様、私達も精一杯務めますので、これからよろしくお願いしますね」
家族愛が溢れる父に優しくて穏やかな母。守ってくれる兄。アリアのために一生懸命働いてくれるシアナ。
(家族ってこんなに温かいものなのですね......)
「よろしくお願いします......!」
家族の愛を一度も触れずに育った少女は今、愛を知った。