り、里咲くん、ちょっとしつこいよ……。

 双子揃って、粘着質なのは同じみたい。

「はいはーい、輝夜が困ってますー」

「輝夜さんは星宮くんが大好きなんですから、里咲さんに目をやる暇もないんですよー」

 ふたりが里咲くんを引き離してくれて、ホッと一安心したところで。

「輝夜は誰にもやらねーし、斎藤も邪魔。失せろ」

「ほえっ!? 雅くんっ、ちょっ……」

 突然こっちに寄ってきて、バックハグしてきた雅くんに、私は一気に赤面してしまう。

 みっ、雅くん、ふたりが転校してきてから、積極的だよ……っ?

 独占したいみたいな?

 どうしようっ、嬉しすぎるよ〜。

「は? ……雅、こんな子のどこがいいのか、あたしにはわかんないなぁ〜。なんであたしじゃダメなの? この子より劣ってるところ、あたしになくない?」

「全部無理。気持ち悪いし鬱陶しい。本当に邪魔」

 雅くんが放った言葉が、私に向けられる暖かい言葉と違いすぎて、びっくりしちゃう。

 そうだ、雅くん、忘れてたけど女子に塩対応なんだった。

 でも、それにしてもキツすぎないかな……?

 杏梨ちゃんが今にも泣いちゃうかもしれないって心配が合って、雅くんに注意したくなる。

「ひど〜い。あたししか雅に釣り合う女子いないよ〜? 本当に、あの輝夜? だっけ。あの子雅に釣り合わないってば〜。あたしとパートナーになろ〜?」

 杏梨ちゃんが、私を貶める言葉を放つときに、ズキリと胸が痛むのもあるし、雅くんが変わらないかが心配なんだ。

 雅くんが、杏梨ちゃんのほうがいいって言っちゃったら、私も終わりだけど……。

 最後の模擬デートぐらい、楽しみたいなぁって思っちゃうの。

「はぁ……ガチで失せろよ。邪魔だっつってんだろ。俺に関わるな」

「ひどいってば〜」

 杏梨ちゃん、諦めが悪いんだな……。

 って、お、怒られちゃうかな!? こんなこと思ってるから……。

 ビクビク怯えながら、雅くんが手を緩めないのを感じつつ、私は波乱の予感を感じ取ったのだった。