「そういえば、俺だけタメなのにお前だけ敬語っておかしくね? お前もタメで話せよ。な? か・ぐ・や・?」

 急に輝夜と呼ばれた私は、顔にマグマのように熱い熱がたまる。

「わっ、私も星宮くんのこと、雅くんって呼ぶの? じょ、女子から反感買っちゃうよ! まだタメはいいけど……で、でも、この学校でタメ口で雅くんと話すのはいいんだけど……あ」

 スラスラーッと雅くんって呼んじゃった……!

 うわぁああ、どうしよう〜!?

 またもや婚約チェッカーがフルルッと揺れて、ドギュンッと恋愛度数が爆上がりしちゃったんだ!

 ひ、ひとりだけ上がっても、マイナスポイントになっちゃうよっ。

 星宮く……み、雅くんにもドキドキしてもらわなくちゃ……!

「雅くんは、恋愛度数上がってないの……?」

「さあね〜? どう思う? 輝夜」

 あぁ、もうっ、キュン指数がまた上がっちゃった……。

 雅くんに輝夜って呼ばれるの、いつまで経ってもなれないと思う……っ。

「あ、上がって……ないと、思うな……?」

「ブブー。俺だって、お前にドキドキしてないわけないだろ。お前に雅って呼ばれるの、結構気に入ってるし」

 雅くんの婚約チェッカーを覗いてみると、なんと私と同じくらい全ての指数が上がってたの!

 びっくりしちゃって、私はあっけらかんに口をポカンと口を開きっぱなしで。

 っていうか、私より上がってないかな、雅くん!?

 愛指数とか、すごい上がってるけど……?

 私のこと、想ってくれてるってことなの?

 う、嬉しいっ……。

 思わずキュンとときめいてしまって、キュン指数がちょっと上がった。

「雅くん?」

「ね、もっと呼んでほしいだなんて、わがままだよな」

「えっ……も、もっと呼んでほしいって……おねだり? え、あの堅物が? 私におねだりしてるの!? それもめっちゃ可愛いわがままをねだってる……! ふふっ、雅くん、可愛い……!」

 可愛いなんて、男の子に思うなんて思わなかったけど、だって、こんなに可愛いわがまま、初めて聞いたんだもん!

 雅くんが、こんなに可愛いおねだりしてくるなんて〜。

 えへへ、だったらもっと雅くん雅くんって呼んじゃうよ〜。

 そこで、私の婚約チェッカーは、愛指数が上がっていることを表した。

 わわっ、私、これで雅くんのこと大切に思ってるってことかな……?

 それに、さっき雅くんの婚約チェッカーも揺れたような?

「……俺の全部の恋愛度数、上がったんだけど……輝夜に可愛いとか雅とか呼ばれたからかな。輝夜も俺が名前呼んだら上がってるっぽいし、ふたりとも嬉しいんだ」

 ひ、否定できません。

 恥ずかしいっ……! こんな真っ直ぐに見つめられて言われて、照れない女の子はいないと思うっ。