廉は最初は驚いていたけど、その後はしょんぼりしながら無言で進んで行った。



「ちょ⋯⋯!待ってよ!」



人混みの中、廉の背中に向かって走る。

人で埋もれそうになっている自分の体を、一生懸命動かす。

⋯⋯!やっと追いついた!



「はい!これで問題ない?」


⋯⋯⋯あんなこと言っておきながら、廉の手を取ってしまう私は、一体なんなんだろうか。

廉は、軽く乗っただけの私の手を、優しく包み込んだ。

その顔は、あまり優しそうじゃなかったけど⋯⋯