「人の彼女を口説こうとしてんじゃねぇよ」



廉がそう言った瞬間、自分でもわかるほど、顔が赤く染まった。

ヒーローみたい。

廉が、私も見た事のないくらい怖い顔をすると、ナンパしてきたグループは、ぴゅ〜という効果音が付きそうなくらい急いで走っていった。



「ごめん。彼女なんて言って」



あっ、そっか⋯⋯



「ううん!全然大丈夫!」



〝本当〟の彼女じゃないことに、なぜが悲しい気持ちが浮かび上がった。