これで、いいかな。

少しくすんだ紫色を基調とした、アクセントとしてある金色の花柄模様の着物。

帯は黄色になっていて、金色の花柄模様とよく合う。

髪はお団子にして、ピンクと黄色のドライフラワーの髪飾りを付けた。



「それじゃあ、行ってきます」



下駄を履いてから、私、汐華巫月(しおはなみづき)は、両親共に多忙で家に居らず、行ってらっしゃいという返事が来るはずのない家を出た。



***



近くに居れば、声を聞くだけでわかるほど、お祭り会場は大勢の客で賑わっていた。

今日は、一人で来たわけじゃない。


お祭り会場に向かう前に、近くの公園に寄る。