「……じゃあ、お前の黒歴史、学年全員にバラしたろ」

「なっ、そ、それは卑怯じゃん!」

「卑怯じゃねーし、みなが手伝ってくれたら言わねぇし」

そっぽを向きながら唇をとがらせてそう言う翔。

こいつっ、綺麗な顔してるくせに脅しを使ってきやがるっ……!

「だいたい、いつも俺がお願い聞いてやってんのに、俺の願いは聞いてくれないのはなんで?」

急に真顔になってそんなことを言ってくるから、私の勢いが少し落ちる。

それに気がついたのか、翔はここぞとばかりに言葉を続ける。

「宿題見せてやったし、忘れ物した時に教科書見せてやったし、勉強教えてやってるし……」

「わっ、分かった!私の負け!準備するから!」

こ、これ以上ほっといたら外が暗くなっちゃうよ……。

「ほんとかっ!いやー、やっぱりみなはなんだかんだ言ってお願い聞いてくれるんだよなぁ〜」

……本当に、本当に翔のデート姿を見るのは嫌だけど、この喜んでる顔を見れたから、今回は、我慢しようかな……。