……ほらぁ……。

しかもデートがしたいって……、お願いじゃないじゃん!

ただの願望じゃん!

「はいはい、勝手にしてくださ……え?」

もう一度数学の問題を解こうと机に体を戻そうとすると、翔に二の腕を掴まれて失敗する。

「そ、その……デートをするにあたって……ふ、二人きりじゃ、多分……いや、絶対無理だから!」

おい、好きな人とのデートが絶対無理とか言うな。

そして頬を赤くするのやめんか。

……こっちが照れる。

私がそう思っている間にも、翔の話は進んでいく。

「今の俺が恋愛関係で頼れるのはお前だけなんだ!だっ、だから、ダブルデートの計画を立ててください!」

「……嫌です」

少し考えてからそう言うと、翔はこれでもかってくらい目を見開いて叫ぶ。

「なぜっ!?そこは、いいよ!って、言うところでしょうが!」

「だってめんどくさいもん。それに、ダブルデートって、もう一人探さないといけないじゃん」

「それはそうだけどさぁ……お願い!こんなこと、お前にしか頼めないんだよ!」

……お願いがデートの事じゃなかったら、聞いてあげるんだけどなぁ……。

……好きな人のデート姿とか、見たくないし。

「とにかく!私は何も手伝わないから!」

私が少し強めにそう言うと、翔が大人しくなったから安心していると、ずっと閉じていた口を少しだけ開けてとんでも発言をする。