い、勢いのまま来てしまったから、こ、心の準備が……。

翔の家のインターホンの前でモタモタしていると、神様が待ちくたびれたのか、後ろからお目当ての相手から声をかけられる。

「あれ、みなじゃん。どしたの」

「ひぎゃっ!」

買い物に行っていたのか、片手にビニール袋を持っている。

ど、どうしよう……急に翔が現れるとは聞いてないよ……っ。

「ひぎゃって、みなってほんと変な効果音使うよな」

「つ、使いたくて使ってるわけじゃないし!」

私の気も知らないで呑気に私をイジる翔をいつも通り軽くしばく。

翔もいつも通り、だったはずなのに。

「へぇ〜そう。……みな、泣いてた?」

なんで。

「……っ、な、なんで……」

気づくのよ。

「目元、赤い」

自分の目元を指さして身振りで伝える翔は、私の大好きな翔で。

「……私ね、翔のことが好き」

よっぽど驚いたのか、大きな目をさらに大きく見開かせる翔。

やっと言えた……。

華ちゃんにも、ちゃんと話さなくちゃな……。

不器用なくせに、私が悲しんでたら一番に元気づけようとしてくれた君。

苦手なことは隠れて練習していた君。

友達とふざけ合う君。

華ちゃんのことが好きな君。

全部、私が好きな君。

「ずっとずっと、好きだったんだよ……っ?」

この言葉と同時に、私の恋は幕を閉じた。