中間テストが無事終わった週末。

今日は華ちゃんと秋服を見に行く約束をしていた。

……でも、本当はデートに着ていく服を一緒に考えて欲しいんだろうな。

私、幼なじみだし翔の好みの服を知ってると思ってるんだ、多分。

「みーちゃん!今日は来てくれてありがとうっ……」

肩までのばされた髪をハーフアップにして、茶色いロングスカートに色のトップスを合わせて上からカーディガンを羽織っているコーデは、落ち着いた雰囲気の華ちゃんによく似合っている。

それに反して私は、黒いスキニーに灰色のパーカーという、可愛げのない格好。

「あー、うん。暇だったし、私もそろそろ秋服見ておきたかったから、大丈夫だよ」

苦し紛れにそう言ったけど、本当は秋服はもう先週お母さんに買ってもらってる。

「そう言って貰えると安心する……」

「そう?じゃあ、そろそろ行こか」

         + + +

私たちが最初に入ったお店は、オシャレな雰囲気のお店で、女子高校生から大学生くらいの人が着てそうな服を主に売っているみたいだった。

なんでも、華ちゃんがよく通っているお店らしく、私に紹介したかったらしい。

「これとか、みーちゃんに似合いそうっ!」

そう言って華ちゃんが私に向かって差し出したのは、シンプルな白いトップスと、黒のロングスカート。

普段は着ない系統の服をおすすめされて戸惑うけど、華ちゃんはやっぱり服のセンスがいい。

少しだけ、いいなと思ってしまう。

「……えー?私になんかにこんなオシャレな服は似合わないよ〜」

「そんなことないよ!絶対に似合うと思うんだけどなぁ……」

悲しそうに服を棚に戻そうとした華ちゃんになんだか申し訳思ってしまう。

「や、やっぱりその服、いいな……って、思うん、だけど似合う、かな……?」

華ちゃんの腕を抑えて、途切れ途切れにそう言う。

「み、みーちゃん?私に気を使わなくていいよ……?」

華ちゃんは私が気を使っていると思ったのか、眉を下げてそう言ってくれる。

でも、私の言ったことは嘘でも気を使った言葉じゃないから。

「ち、違うの!気なんて使ってないの……っ!でも、私なんかに似合うかなって、不安で……」

「……そうなの?」

「……うん」

俯きながら小さく頷くと、華ちゃんが嬉しそうに笑ったのがわかる。

「大丈夫だよ、この服みーちゃんに似合ってる。これも、嘘でも気を使った言葉でもないよ」

「ほんとに?」