「は、はい……ありがとうございます」

私がそう言うと、陽菜さんは安心したのか、スマホの向こうで何か言いながら凌くんにスマホを返している気配がする。

『ってことだから、ほんとに気にしなくていいからね。若者はもっと恋をしないと』

「うん、ありがとう。また連絡する」

『ん、待ってるね』

またねと言って通話を切ると同時に華ちゃんと翔から新しいメッセージの通知が来る。

嫌な予感しかしないけど、華ちゃんのメッセージから開いてみる。

《みーちゃんにお願いがあるんだけど……》

《私、谷口くんに告白したくて……、なにかいい案はないかな……?》

……とりあえず、返信しておこう。

《分かった!ちょっと考えてみるね!》

考えるも何も、もう決まってるから無駄だけど。

《ありがとう〜!》

華ちゃんからそう返事が来たのを確認して、翔のメッセージも開く。

《プラン決まった!みなは山口さんのこと誘えた?》

ブサイクな猫が頭の上で丸を作っているスタンプと一緒に送られてきていて、私は苦笑しながら返信する文章を考える。

女子の方からも男子の方からも相談されて板挟み状態な私、可哀想……。

もう早く付き合ってくれ……。

《まだだけど、今から誘って来る》

《おう、サンキュー》

        + + +

「終わった……やっと……やっとだ……」

凌くんに電話をかけた時はまだ五時くらいだったのに、華ちゃんにダブルデートの提案して、オッケー貰って、翔に報告して、また華ちゃんに日程の連絡して、都合が合わなくて、翔と相談し直して、さらにまた華ちゃんに報告してやっと決まったと思って時計を見たらいつの間にか八時半。

私、何時間連絡係してたんだろ……。

しかも、自分の好きな人の恋愛のために。

もう、ほんとに……軽く病むんだけど。

凌くんにももう連絡はしてあるから、もうあとは当日を迎えるだけ。

……そう思ってたのに。