ある日、コンテストで賞を撮った作品を見に行こうと、部員の何人かで展示会を訪れた。


「山下センパイも、賞を取られたんですよね?おめでとうございます。」


電車を降り、展覧会に向かう道を皆で並んで歩いている時に、杏奈が和輝にそう声をかけた。


「ありがとう!まぁ、たまたまだけどね。作品のチョイスがよかったんだよ。審査員ウケよかったというか。」


「そんな…。私は、センパイの写真、全部素敵だと思います。」


普段思っていることを、ここぞというタイミングで伝えた。

和輝はニッと口角を上げ、照れたような、でも嬉しそうな表情を杏奈に向けた。


「そう言ってもらえんの、嬉しい!賞とれたのも久々だから、こー見えても結構テンション上がってる!」


和輝と話すだけでもドキドキするのに、笑いかけられてしまい、一気に心拍数が上がった。


展示会の会場に入り、
入口付近から、各々、ゆっくりと作品を眺めていく。

杏奈もゆっくりと作品を見て回った。


学生から社会人まで、受賞者は様々のようだ。

同じ部員の名前も数名見つけた。


そして、角を曲がった少し先に、見たことのある写真を見つけた。