彼はバイクを駅に停めて居たらしく、駐輪場まで着いてきて欲しいと頼んできた。



一緒に向かった駐輪場には、少しガラの悪いお兄さん達が屯していて一瞬怯んだけど、蓮水さんの友人が一緒なので大丈夫だと自分に言い聞かせ、置いていかれないように後に続いた。




ふと彼が突然足を止めたので、私も自然と足を止める。




そして、彼のものだと思われるバイクが視界に入った時、【⠀やらかした 】咄嗟にそう思った。




「あのさ・・・自己紹介してなかったよね?俺の名前、"遊馬《あすま》 俊介《しゅんすけ》"っていうんだけど・・・蓮水から聞いた事、ないかな?」




彼、、遊馬さんのものと思われるバイクは、いかにも"暴走族"感が漂っていて、普通の爽やかな高校生が乗るようなバイクではなかった。




それに、"遊馬"って・・・あの人生最高の日に、生徒会長の要人さんも、同じ名前を言っていた気がする。



遊馬さんのスパイだろ、お前っ・・・みたいな勘違いをされて、その後蓮水さんにブラウスをブチブチッて・・・



「っえ、ちょ・・・何で鼻血っ?!いやいや、大丈夫っ?!俺まだ何もしてないよねっ、何?!」




突然鼻血を出した私に驚いたのか、慌てた様子でティッシュを差し出してくれる遊馬さん。



それを有難く頂戴して鼻に押し当てる。