最寄り駅に着いて、近くの電話ボックスの前で写真を届けてくれる人物を待つ。
夕方で結構人が行き交っていて、会えるかどうか不安だけど、向こうは私の顔を写真で見て知っているはずなので、なんとかなるだろうと思っていた。
私がここに着いてから、10分くらい経った頃、
「あの、雨宮さん・・・ですか?」
突然後ろから声を掛けられて、慌てて振り向くと・・・制服を着た私と同じ歳くらいの男子高生が立っていた。
どこの制服かは分からないが、手には私の家宝が握られていることから、おそらく彼が写真を拾ってくれた人なのだろう。
「ー・・・は、はいっ!雨宮花音ですっ!!あの・・・それ、拾っていただいて・・・ほんっとにありがとうございますっ!!」
慌てて頭を下げてお礼を言った私を見て、ニコッと笑ってから写真を手渡してくれる青年。
なんて爽やかでいい子なんだ!!!
手元に戻ってきた、愛しい蓮水さんを指で撫でてから、大事に生徒手帳に挟み込む。
「あ、あの!!お礼っ・・・本当に助かったのでぜひお礼させてくださいっ!えっと、、そこのコンビニで何でも好きな物ご馳走しますっ!」
駅前のコンビニを指さしてそう言った私を見て、もう一度爽やかに笑った青年は、、
「いや、お礼はいいから一つ聞きたいことがあるんだけど・・・写真に映ってた君の"彼氏"って・・・もしかして、蓮水 唯斗じゃない?」
ーーー・・・彼氏?
「いや・・・いやいやいやいやっ!!全然違いますっ!そんなんじゃないですっ!!私と彼は、神と底辺みたいな・・・それくらいの身分差が存在するので、彼氏彼女なんてっ・・・そんなおこがましいっ・・・有り得ません、本当にっ!!」
全力で否定してからハッと気がつく。
あれ?この人蓮水さんの知り合い?
「ふ〜ん・・・蓮水 唯斗って、恋人でもない女の子と、裸で写真撮ったりするタイプなんだ。何か意外だなぁ〜・・」
えっと・・・これって蓮水さんの価値を下げてしまってる?私のせいで蓮水さん・・・何か悪い評価されてるっ?!
「いやいやいやいやっ・・・これ蓮水さんじゃないですよっ?!っえ、何言ってるんですかっ?!バカですか?よく見てくださいよ〜・・・もう何言ってるんですかぁ〜・・・」
写真をもう一度見せて、別人だと言って乗り切ろうとしたが、、
「いや、これどう見たって蓮水でしょ。こんな顔整ったイケメン、他に居ないでしょ」
ーーー・・・確かにっ!!
そうなんです、そうなんですよっ!
この世界中探しても、蓮水さんより素晴らしい人はどこにも居ないのですよ。