【 非 通 知⠀】
普段なら出ることを躊躇うが、今は写真の件があるので迷うことなく着信を受けた。
「も、もしもしっ?!雨宮です!」
っと、家電のノリで電話を受けた私の頭を、彩ちゃんがバシッと叩いた。
【あの〜・・・駅前で写真を拾った者なのですが、、裏にお名前と電話番号と、(家宝なので絶対返してください!)ってメモ書きがあったので連絡したんですけど・・・これ、どうしたらいいですかね?】
写真を拾ってくれた方は、どうやら男性だったみたいで、電話口の声色は少しナヨっとした感じの弱々しい男性の声だった。
「ほんっとにありがとうございます!!あの、何処まででも取りに行かせて頂くので、時間や場所を指定してくださればーー・・・」
電話先の男性は、親切なことに拾った駅前・・・つまり私の最寄り駅で直接渡してくれるらしく、今日の放課後会う約束をした。
世の中がみんなこの男性のように優しければ、もっと平和になるのになぁ、、なんて思いながらも、数時間後にはあの大切な写真が戻ってくると思うと、とても安心した。