「……ないっ!!どうしようっ?!!」


ある日の昼休み、教室で大声を出して泣き出した私を、彩ちゃんはとても冷めた目で見てくる。



「なに?蓮水に彼女でも出来た?学校辞めた?ケガでもした?事故でも起こした?」




なんて縁起でもないことを言ってくる彩ちゃんを軽く睨みつける。




「無くしたっ・・・私の家宝・・・一枚無くしたああ!」


命より大切といっても過言では無い蓮水さんとの尊いツーショ写真を、一枚紛失するという大失態を犯してしまった。



「もしかして・・・チェキ会してもらったとか言ってた例の写真?確か三枚あるんでしょ?無くしてもあと二枚あるならいいじゃん。」




「いやいやいやいや、そんな簡単に諦めきれないよっ!それにこんなこともあろうかと・・・写真の裏に私の名前と電話番号書いておいたから、誰か拾ってくれたら絶対連絡してくれるはずっ!!」





失うものなど何も無い私は、自分の名前と電話番号を写真の裏に記入しておいた。これでもしも誰かが拾ってくれたら、連絡してくれるだろうと信じて疑わなかった。





「いや、このご時世個人情報晒すとか・・・あんたマジでバカじゃない?仮にも【雨宮家】の人間なんだから、もう少し用心しなさいよっ!」







デコピンつきで軽く彩ちゃんにお説教された時だった。







私のスマホが震えて、着信を知らせた。