私が夏稀と次に会えたのは、山奥にひっそりと佇む



墓地でのことだった。


霊園と呼ぶには規模の小さい、お墓がいくつか経つ場所。





“ 須藤家之墓 ”




その一角に立った、夏稀の眠る場所。



「 冬華。水持ってきたから綺麗にしよ 」


「 ……うん 」




肌を刺すような寒さの中、キンキンに冷えた水の中にタオルを浸けて絞る。



「 つめた… 」


「 …… 」


「 …… 」


「 …… 」



木枯らしがヒューヒュー吹いて、思わずマフラーに首をうずめる。



寒すぎるよ、夏稀。


ねぇ、いつもみたいに私の手を自然な流れでとってつめたーって笑ってよ。


末端冷え性、辛いよ。
誰が温めてもらえばいいの、誰にカイロ貰えばいいの。




「 3年経つかー 」

「 ……そうだね 」

「 あの日から1回も冬華の笑った顔見てねーな 」

「 ……そうだっけ 」



3年前の今日、手紙を読んで登校したあの日教室のおんぼろなドアを開けるとそこには愁人しかいなかった。




こんなに寒い日だっていうのに、静かに窓際の席で涙を流す愁人しかいなかった。