お願いだからあと少し、あともう少しだけ隣にいさせて。


「いつも一緒にいんのにな」

「……へえ。てことは同じクラスの子なんだね」


──── この線香花火が消えるまで一緒にいさせて、傍にいて。


「同じクラスっつーか、幼稚園から高校まで一緒」

「……ふーーん」

「なんて告ったらいいと思うー?」

「……え?ああ、シンプルに『好きです、付き合ってください』とかでいいんじゃないの」

「なぁ志穂。好き、俺と付き合って」

「……ああ、うん」


・・・・・・は?


ずっとうつ向いてた顔を上げて颯汰を見てみると、ニヤッと意地悪な笑みを浮かべていた。


「やっとこっち向いたな」

「どう……して、なんで私なの?」

「ああ……気付いたら好きになってた。これじゃダメ?」


ちょっとだけ困ったような、照れくさそうな顔をして笑う颯汰を見て、涙がツーーッと頬を伝っていく。


「なに泣いてんだよ」


私の頬に優しく手を添えて、丁寧に私の涙を親指で拭う颯汰の指先から想いが溢れ、『お前のことが好きなんだ』ってその指先から熱が伝わってくる。


「……っ、ごめん。私、颯汰のことが好き」

「え?」

「ずっと、ずっと好きだった」

「……悪い。もう我慢すんの無理だわ」

「え、ちょっ……」


線香花火の火玉が地面に落ちて、ジュッと控えめな音を立てたのと同時に私達の唇は重なった──。


「好き」

「私も好き」