今日は、袖を捲り忘れることなく、
鼻歌混じりで洗い物をしていると、
隣の月影くんが、ふふ、と笑った。

「鼻歌なんて、ご機嫌ですね」

「料理教室が、楽しくて、つい」
恥ずかしがっていると、
月影くんが
すこし身体を文乃のほうに寄せ、
小声で言う。

「可愛い」

「!!」
顔がかーっと熱くなる。