「可愛いね」
城下くんが、また低い声で言う。

「強引なのも、本当は好きですって
言えたら、君にご褒美あげる」

「ご褒美…?」

「そう、ご褒美」

文乃は、
「そんなの、言えないです…」
と震える声で言った。

「ふーん、じゃあもうやめる」
城下くんはハグしていた腕をパッと外した。