「本当に馬鹿だね」
すっかり壁に追いやられた文乃は、
城下くんに両手で顔を挟まれるような形で
壁ドンされていた。

目と鼻の先に、城下くんの顔がある。

「こんなにびしょ濡れの格好で、
俺に我慢出来ると思う?」

いつもより低い声。
キスされそうな距離。
文乃は、突き放すこともできるのに、
それをすることができなかった。

唇と唇が、触れ合うかに思えた、
その瞬間、城下くんが、
ハッとした顔をして、
こう言った。

「理性飛ぶとこだった、ごめん、
嫌だった?」