「いや、感動しちゃってさ…
すごいよ、ふみのん!
才能しかないよ」

まだ状況が分からない文乃に、
城下くんが続けて言う。

「この俺を泣かせるほどの
歌唱力と表現力を、ふみのんは
持ってるってことだよ」

「えぇ?!」

「ふみのん、はじめて料理教室にきたとき、
自分には取り柄ってものがない、みたいな
こと言ってたよね」

「はい」