パシャり,とスマホが音を立てる。

フォルダを確認すると,バッチリ撮れていた。

私の顔が前に来すぎていて,構図がこれでいいのかは分からないけど。

私は満足して,若槻に見せる。



「どう?」

「いいんじゃ,ない?」

「なんで疑問系なの」

「いいから聞かないで」



顔を背けた若槻の耳に,視線が止まった。

じっと見ていると,もっと赤くなる。


 
「…照れてる?」



写真くらい,わけないと思ってた。

気にすることないのに。

おかしくてくすくす笑うと,若槻は。

今度は別の意味で顔を赤くして,怒った。



「一花だって女子なんだから,ツーショットは恥ずかしいでしょ」



訴えかける若槻に,ふふっと笑う。

女子なんだから。

一応って付きそうだなって一瞬思ったけど,その言葉が嘘じゃないって分かってるから,突っ込めなかった。

真っ直ぐで,すぐ照れる。



「若槻のそうゆうとこ,好きだよ」



私はまた,若槻を見て笑う。

こんなに笑えるのは,久しぶりだ。

若槻が言葉に詰まったように狼狽えて,また顔を赤くする。

今度の意味は,分からなかった。

からかったから,怒った?

私は若槻の顔を,下から覗き込んだ。