「クレーンゲームって,難しい」

「そう?」

「景品のお菓子持って言われると,むかつく」

「ははっごめん。コインもすぐ消し飛ばしてたしね」



うるさいな。

ムキになって,私は若槻を睨んだ。



「そう言えば,一花ってお金,どっから出してんの?」

「お母さんが月1で置いてくお金と,土曜日と月曜日,出来るだけフルで働いた分」

「バイト? 足りないの?」

「生活費としては十分過ぎるくらい」



ただ。



「彼氏?」



そんなとこ。



「女子の見た目とデートにお金はかかるものだよ」



なんか,多分違うけど。

全部引っくるめてそうゆうことにしておく。



「ごめん,一花。こんな金使わせるとこ連れてきて」



…なんで?



「楽しいよ」



あ,そうだ。



「写真,とらない?」

「え?」

「プリ,高校生なら撮るんでしょ?」

「え,と。それは…」



違った?

私は小首をかしげた。

中学生の時ですら,スマホに付けている人がいた気がするんだけど。



「流石にはずいから,スマホで勘弁して」

「…いいけど」



正直その辺は何でもいい。

プリクラに興味はあっても,ただ記念が欲しかっただけ。

景品も何も取れなかったし。



「じゃ」



外に出て,私はカメラを構えた。

自撮りなんてしたこと無いし,ちょっと時間がかかったけど,やっとピントが合う。



「はいチーズ」