あれ、こんなに大降りだったっけ…。

って思っちゃうくらい周りが見えてなさすぎたんだわたしは。


グラウンドは泥の海が広がってるみたい。
さすがにサッカーどころじゃない。



「まあ球技大会の実行委員の担当にさせられた俺としては、助かった」



そっちの準備もしないとだしな───と、先生は雨の日にはよく喋るということが分かった。


ううん。

わたしが静かすぎるからびっくりしちゃってるんだ。



「皆木は卓球だったか」


「うん。中学のときやってたんだー」


「…サッカーなら教えてやれたけど」


「……へへ、残念でしたあ」



いつもなら。

いつもだったなら、「えっ!?」なんて飛び上がってはサッカーに変更するところだ。



「1年生にね、すっごい馬鹿にされちゃった」


「……………」


「笑われてることは知ってたけど、まさかあんなにだとはさすがに思ってなくて…。ちょっとね、グサグサって、すごいきた」