「明日の放課後に通しで合奏してみるので、それまでには今日の課題を仕上げてきてください。じゃあ、通常練習に戻って」
曲は応援歌を交えたJ-POPメドレーだった。
わたしはそのなかの2曲のサビ部分だけ挑戦してみることになり、あとは吹き真似でいいとのこと。
それ……逆にすごい嫌かも…。
部員たちが通常練習に散らばるなか、わたしは片付けを終えてから個人練習に戻ることにした。
「ねえ、皆木先輩やばくない?楽譜に番号ふってんだけど」
「うそ、そのレベル?小学生じゃないんだからさー。でも真っ白な楽譜なんでしょ?番号ふる暇あるならもっと書き込みしろよって話じゃん」
「恥ずかしいよね。ここって鈴高だよ?なんで入部できたんだろ」
「あ、前にちょっと先生に聞いてみたんだけどさ。なんかね、たまにそういう生徒は興味本位に入ってくるんだって。でも結局はすぐ辞めていくらしいよ」
「すぐって、皆木先輩は1年からいるっぽいけど。逆に図々しくない?先生もいい迷惑って思ってるはずだよね」