若くて格好いいから人気が出そうだなあ……とは思ったけど、それだけ。
だからね、そうなった理由があるんだ。
「わたし、先生が現役でサッカーしてるところ見てみたかった」
「……見て、どうする」
「応援する!このハルトといっしょに!」
高校1年生の夏休みの夕方、わたしは体力を作るために近所の砂浜をランニングしていた。
そのとき遠くから飛んできたサッカーボールが顔面に当たりそうになって。
そこで助けてくれたのが───先生だった。
『大丈夫ですか。怪我とか、してませんか』
軽やかに受け止めて、シュンッとボールを戻す姿が脳裏に焼きついたのだ。
あれほどに格好いい存在をわたしは見たことがなかった。
帽子を深く被っていたから、先生はわたしに気づいてなかったっぽいんだけどね。
それからわたしは包み隠さず愛を伝えつづけて現在だ。
「…おまえがトロンボーンで良かったよ」
「へっ?どうして?先生はトランペットが好きだと思ってたのに」
「ああ、ブラスバンドに使われてるならなんだっていい」
「ぶらすばんど……?」
そういえば朝、唯ちゃんも言っていたような……?
まあいっか!
よく分からないけど、先生すごく満足そうな顔してるから。
この7歳年上で教師をしている彼が、わたしの好きなひとです───。