『演出』


僕の人生まるまる一本
映画にしたってどうせ無音の短編映画

劇的にしたがるだけの観客なんて要らないさ

これが普通
僕だけの普通
何も可笑しいとこは無い

隣を見れば楚々として
あちらを見れば燦々と
照明照らして
わざとらしい程に讃えてる

「なんと素晴らしいことでしょう」って

愛は分かるよ
ソレは知らない
まるで僕らは違う生き物

だけど分かり合えない?
本当に

僕の中に無いものを
無いと言っちゃいけないの
無い訳が無いと君たちは言うのに
そんな声だって壁に吸われて消えていく

ごめんねちょっと
ひねくれてんだ

たった一行のエンドロール

流れるのは僕
客席に座るのも僕
それならオカシイとこは無い
それなら不幸だなんて言われない

これでも僕は楽しんでんだ