ついにきた。
この瞬間。
俺は、親父に言われた場所で待機している。
ひんやりとした、冷たい空気。
これだから、お見合いは嫌いなんだ。
どうせ相手は俺の顔しか見ない。
外見しか見ない。
だから、恋愛なんて俺にはできない。
だから、政略結婚でも良いかな...
なんて考えている間に、扉が開いた。
相手の容姿にびっくりした。
きれいな桜色の瞳。
透き通る白い肌。
色素の薄い茶色の髪。
その長い髪は、ハーフアップできれいに
結んである。
美人だ。
花崎家のご令嬢...花崎は、はなし始めた。
「今回お見合い相手に推薦されました。
花崎家の長女、 花崎 莉緒です。
今日は瀬賀さんにお近づきになれ、
ありがたき光栄です。
本日はよろしくお願いします。」
最後らへんは聞いてなかったけど
こんな感じだっただろう。
俺も適当に作り笑いを浮かべ、
適当に言葉を返した。
多分こいつも無理矢理お見合い
させられたのだろう。
このあと、大体のやつは
俺に甘ったるい喋り方をするが...
花崎が返した言葉は、想像を絶するものだった。