私、永久(とわ)サラ。
ハーフとかじゃない、ただの中学2年生。
新学園(しんがくえん)に通っている。
新学園は進学校で、勉強のペースもすごく早い。
でも、お母さんが塾の先生で、勉強には自信がある。
だから…私は勉強についていけている。
そして…私は、秘密がある。
それは…。
近くにあった鏡に、私がうつった。
真っ黒な髪を二つ結びにして、伊達メガネをかけて、これまた真っ黒な瞳の地味な女の子。
そう、これはウィッグとカラーコンタクトをつけて、その偽の髪を二つ結びをした私。
「サラっ! おはよう!」
「むぎゃっ」
考えにふけって油断していた私の背中に、強い衝撃が来た。
び、びっくりしたっ…毎日のことなのにっ…。
私の背中に飛びついて来たのは、私の友達、青(あお)空(そら)ちゃんだ。
「もう、空ちゃん…おはようっ」
にっこりと笑みを向けると、嬉しそうににこにこしている空ちゃん。
とっても美人で可愛い友達。
私の、自慢の友達だ。
元気でモテるとおもうけど、彼女は男の子が大嫌い。けだもの呼ばわりしているほど警戒している。
「サラサラ、宿題わかった⁉︎」
「うん。できたよ。あ、あれ、もしかして、また宿題忘れたの…?」
「うん、もっちろん! サラサラ、また宿題見せて〜‼︎」
可愛く詰め寄ってくる空ちゃんが可愛すぎて、毎回許してしまう私もダメだな…。
私たちのクラスは2-Sで、一番頭がいいクラス。
2-Sにいる限り、宿題を見せてもらうのはやめた方がいい気がするけどな…。
次からは、しっかりと注意しなきゃっ…。
「それにしてもサラ、変装しなくてもとっっっても可愛いんだから、変装なんてしなくていいのに。ほら、このメガネなんか」
か、可愛いなんて…私はそんなことないっ…。
むしろ、可愛いから一番遠い人間。
ちょっと、私を可愛いなんて言う空ちゃんの美的感覚はちょっとおかしいようなっ…。
空ちゃんは私の素顔を知っている。
学校で知っているのは空ちゃんだけ。
「わ、私は可愛くもなんともないよっ。いつも言ってるじゃんっ。しかも、ちょっと地味になりたくて…」
なぜだか、私が変でちんちくりんなのが原因か、いつも注目を浴びていて…地味になりたかったから、進級とともに変装し始めた。
「はああ…サラが可愛すぎて注目されてたっていい加減自覚しなさいよ、この純粋美少女!」
可愛すぎて…? 自覚…? 純粋、び、美少女っ…⁉︎
な、何を言ってるの空ちゃん…!
「そ、空ちゃ…「この、鈍感美少女! 可愛いんだから!」
え、ええっ…⁉︎
「首席っているか?」
その、時だった。
教室のドアが開いて、一人の男の子が顔を覗かせたのは。
え…?
すごく、イケメンさん…!
すごく顔が整っていて、モデルさんかと疑うほど。
…って、はっ。首席は私なんだから、私が行かなきゃっ…!
「は、はい…! 何ですか?」
そっと立ち上がる。
「キャーッ、イケメン様、神様、桐沢(きりさ)様ぁ〜‼︎」
桐沢…?
この人は、やっぱり人気なのかなぁ…。
「この書類…」
あ、あの書類、先生に近頃渡されるって言われてた書類だ。
「あ、ありがとうございます」
笑顔で受け取る。
何事も、笑顔が大事だよねっ。
「…っ。お、おい永久…来て、くれるか?」
…え?
私の名前、知ってる…何で?
「は、はい…」
しょうがない…行こう。
「キャーッ」
また上がった悲鳴。
「ダメサラ‼︎」
叫ぶ空ちゃんを無視して、立ち上がる。
悲鳴に包まれながら、私は渋々彼について行った。
*** ***
空き教室に入り、鍵をかけた彼。
「…サラ」
さっきは永久呼びだったのに、さ、サラ呼び…?
「あ、あの…なんで、名前…あなたは…?」
謎が、多すぎる…。
「…俺は桐沢優希。A組」
A組の、桐沢さん…。
「き、桐沢さん。何で私の名前…「……」
何かを思い出したような表情。
しまった、というような表情にも見えた。
「…前見た時、可愛かったから、印象に残ってた…「ん?」
ぼそぼそ話してて、聞こえなかった…。
「…っ、じゃない…しゅ、首席だから、覚えてた…」
そうだったんだ…。
「そ、そうなんですね…!」
「…!」
なぜか、目を大きく見開いた桐沢さん。
「敬語、やめろ…」
「あ…すみま、じゃない、ごめんっ…、桐沢さん」
慌てて直すと、また顔をしかめた桐沢さん。
「…桐沢じゃなくて、優希」
「え? ゆ、優希、くん、…って事…?」
「ああ」
満足そうなきりさ…優希くん。
「サラ」
「…ん? どうしたの優希くん?」
手を引っ張られ、首を傾げる。
「…っ…そんな可愛い顔すんの、禁止だからな」
可愛い顔、なんてっ…そ、そんなわけないのにっ…!
「ゆ、優希く…」
キーンコーンカーンコーン。
……あ。
私の声を遮るように、予鈴が鳴った。
「優希くん、あとちょっとでホームルーム始まっちゃうから、私もう行くね…!」
教卓の上にあった鍵をサッと取って、ドアを開ける。
「あ、ちょっとサラ、待て…」
「ごめんっ…またね!」
多分…急につれてられて、空ちゃんが心配している。早く、帰らなきゃっ…!
私は、優希くんが言いかけたことも無視して、教室を飛び出した。
ハーフとかじゃない、ただの中学2年生。
新学園(しんがくえん)に通っている。
新学園は進学校で、勉強のペースもすごく早い。
でも、お母さんが塾の先生で、勉強には自信がある。
だから…私は勉強についていけている。
そして…私は、秘密がある。
それは…。
近くにあった鏡に、私がうつった。
真っ黒な髪を二つ結びにして、伊達メガネをかけて、これまた真っ黒な瞳の地味な女の子。
そう、これはウィッグとカラーコンタクトをつけて、その偽の髪を二つ結びをした私。
「サラっ! おはよう!」
「むぎゃっ」
考えにふけって油断していた私の背中に、強い衝撃が来た。
び、びっくりしたっ…毎日のことなのにっ…。
私の背中に飛びついて来たのは、私の友達、青(あお)空(そら)ちゃんだ。
「もう、空ちゃん…おはようっ」
にっこりと笑みを向けると、嬉しそうににこにこしている空ちゃん。
とっても美人で可愛い友達。
私の、自慢の友達だ。
元気でモテるとおもうけど、彼女は男の子が大嫌い。けだもの呼ばわりしているほど警戒している。
「サラサラ、宿題わかった⁉︎」
「うん。できたよ。あ、あれ、もしかして、また宿題忘れたの…?」
「うん、もっちろん! サラサラ、また宿題見せて〜‼︎」
可愛く詰め寄ってくる空ちゃんが可愛すぎて、毎回許してしまう私もダメだな…。
私たちのクラスは2-Sで、一番頭がいいクラス。
2-Sにいる限り、宿題を見せてもらうのはやめた方がいい気がするけどな…。
次からは、しっかりと注意しなきゃっ…。
「それにしてもサラ、変装しなくてもとっっっても可愛いんだから、変装なんてしなくていいのに。ほら、このメガネなんか」
か、可愛いなんて…私はそんなことないっ…。
むしろ、可愛いから一番遠い人間。
ちょっと、私を可愛いなんて言う空ちゃんの美的感覚はちょっとおかしいようなっ…。
空ちゃんは私の素顔を知っている。
学校で知っているのは空ちゃんだけ。
「わ、私は可愛くもなんともないよっ。いつも言ってるじゃんっ。しかも、ちょっと地味になりたくて…」
なぜだか、私が変でちんちくりんなのが原因か、いつも注目を浴びていて…地味になりたかったから、進級とともに変装し始めた。
「はああ…サラが可愛すぎて注目されてたっていい加減自覚しなさいよ、この純粋美少女!」
可愛すぎて…? 自覚…? 純粋、び、美少女っ…⁉︎
な、何を言ってるの空ちゃん…!
「そ、空ちゃ…「この、鈍感美少女! 可愛いんだから!」
え、ええっ…⁉︎
「首席っているか?」
その、時だった。
教室のドアが開いて、一人の男の子が顔を覗かせたのは。
え…?
すごく、イケメンさん…!
すごく顔が整っていて、モデルさんかと疑うほど。
…って、はっ。首席は私なんだから、私が行かなきゃっ…!
「は、はい…! 何ですか?」
そっと立ち上がる。
「キャーッ、イケメン様、神様、桐沢(きりさ)様ぁ〜‼︎」
桐沢…?
この人は、やっぱり人気なのかなぁ…。
「この書類…」
あ、あの書類、先生に近頃渡されるって言われてた書類だ。
「あ、ありがとうございます」
笑顔で受け取る。
何事も、笑顔が大事だよねっ。
「…っ。お、おい永久…来て、くれるか?」
…え?
私の名前、知ってる…何で?
「は、はい…」
しょうがない…行こう。
「キャーッ」
また上がった悲鳴。
「ダメサラ‼︎」
叫ぶ空ちゃんを無視して、立ち上がる。
悲鳴に包まれながら、私は渋々彼について行った。
*** ***
空き教室に入り、鍵をかけた彼。
「…サラ」
さっきは永久呼びだったのに、さ、サラ呼び…?
「あ、あの…なんで、名前…あなたは…?」
謎が、多すぎる…。
「…俺は桐沢優希。A組」
A組の、桐沢さん…。
「き、桐沢さん。何で私の名前…「……」
何かを思い出したような表情。
しまった、というような表情にも見えた。
「…前見た時、可愛かったから、印象に残ってた…「ん?」
ぼそぼそ話してて、聞こえなかった…。
「…っ、じゃない…しゅ、首席だから、覚えてた…」
そうだったんだ…。
「そ、そうなんですね…!」
「…!」
なぜか、目を大きく見開いた桐沢さん。
「敬語、やめろ…」
「あ…すみま、じゃない、ごめんっ…、桐沢さん」
慌てて直すと、また顔をしかめた桐沢さん。
「…桐沢じゃなくて、優希」
「え? ゆ、優希、くん、…って事…?」
「ああ」
満足そうなきりさ…優希くん。
「サラ」
「…ん? どうしたの優希くん?」
手を引っ張られ、首を傾げる。
「…っ…そんな可愛い顔すんの、禁止だからな」
可愛い顔、なんてっ…そ、そんなわけないのにっ…!
「ゆ、優希く…」
キーンコーンカーンコーン。
……あ。
私の声を遮るように、予鈴が鳴った。
「優希くん、あとちょっとでホームルーム始まっちゃうから、私もう行くね…!」
教卓の上にあった鍵をサッと取って、ドアを開ける。
「あ、ちょっとサラ、待て…」
「ごめんっ…またね!」
多分…急につれてられて、空ちゃんが心配している。早く、帰らなきゃっ…!
私は、優希くんが言いかけたことも無視して、教室を飛び出した。